2017年1月20日

Date: 4.00pm-5.30pm, Friday, 20 January 2017
Place: Room 1302, Main Chemistry Build.
日 時:2017年1月20日(金)16:00~17:30
場 所:化学本館3階講義室

Speaker1: Toshiyuki Komura
Title: Reaction between silicate and hydrous Fe-bearing magnesium carbonate under high pressure and high temperature conditions
講演者1:古村 俊行
タイトル:高温高圧下における含鉄含水炭酸マグネシウムとケイ酸塩との反応

地球規模での炭素循環を考える際に、スラブとともに沈み込む炭酸塩が、地球深部でどのような反応を経て炭素を運搬するのかを考えることは、地球深部での炭素の量を見積もるうえで非常に重要ある。マントル遷移層で滞留するスラブの一部が下部マントルへ落ち込み、炭酸塩が下部マントルにまで運搬されうることが指摘されている。(Ringwood and Irifune,1988;Hirose et al.,1999)よって、下部マントル条件での炭酸塩の挙動を調べることは、地球全体での炭素循環を理解するうえで不可欠である。しかし、下部マントル条件での炭酸塩とケイ酸塩の反応に関する先行研究の例は少ない。さらに、
・下部マントルへの主要な炭素のキャリアと考えられているmagnesite[MgCO3]は、siderite[FeCO3]と完全固溶体を形成する
・マントル深部には沈み込んだスラブから供給された水が存在しうる(Nishi et al.,2014)
ことを考えると、炭酸塩としては含水含鉄炭酸マグネシウムを用いて実験をするのが適当であると考えられるが、こうした出発物質を用いた先行研究は存在しない。
そこで本研究では、含水含鉄炭酸マグネシウムと、MgSiO3ガラスを出発物質として、LH-DAC(レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル)を使用した高温高圧実験を行うことで、マントル深部で炭素のキャリアとなる物質がどのような反応を起こすのかについて調べる。
本セミナーでは主に出発物質の合成とその分析結果に関してと、高圧実験に向けての経過について報告する。

Speaker2: Hideyuki Hayashi
Title: Localization of lithium in aegirine syenite  by LA-ICP-MS analysis
講演者2:林 秀幸
タイトル:エジル石閃長岩中のリチウム分布のLA-ICP-MSを用いた分析

愛媛県岩城島産エジル石閃長岩は、リチウムを含むアルカリ岩として記載されている。
この岩石から複数の含リチウム鉱物が報告されているが、リチウムが岩石中にどのように分布しているかは知られていない。
本研究では、EPMAやSEM-EDSといった既存の方法では調べることのできなかった岩石中のリチウムの分布を、LA-ICP-MSを用いることで分析した。
本セミナーでは、上記の実験結果や考察を報告する。