2018年7月20日

Date: 16:00-18:00, Friday, July 20, 2018
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Takato Ono

日 時:2018年7月20日(金)16:00~18:00
場 所: 化学本館3階講義室
講演者:大野 鷹士

講演者:大野 鷹士 (Takato Ono)
タイトル:火山噴煙測定に基づく火山ガス中の水同位体組成推定法に関する評価
Title: Evaluation of estimation method of volcanic steam isotopic compositions based on volcanic plume measurements

要旨:
火山ガスの主要成分である水の水素・酸素同位体組成は火山活動の盛衰に応じて変動することが知られており、マグマ起源か天水起源かといった水の起源推定に有用な地球化学的指標となっている。地球化学的に火山ガス中におけるマグマ成分の割合の変動を捉えることができれば、従来の地球物理学的観測からの知見とは異なった側面から火山活動の状態や噴火の切迫性を評価できると期待される。しかしながら、それらの同位体組成を得るためには採取時に噴気孔に接近する必要があり、活動活発期・噴火期のデータを得ることは現実的でない。さらに、水は対流圏大気での主要成分であり、濃度変化も大きいことから、噴気孔から離れた地点での火山噴煙試料採取による同位体組成推定も容易ではない。
そこで本研究では、気相におけるH2-H2OおよびH2O-CO2間の同位体交換反応に着目し、噴煙から推定された火山性CO2の酸素同位体組成を同様に推定された火山性H2の水素同位体組成と組み合わせることで、噴煙試料から直接推定することの難しい火山性H2Oの水素・酸素同位体組成と関与する同位体交換反応の平衡温度を同時に推定する手法を提案した。実際に樽前山では本手法による推定値が火山ガス凝縮水の分析値および噴気出口温度の測定値とよく一致することから本手法の有効性を確認した。それに対して、霧島硫黄山では島弧マグマ水を大きく超える異常な同位体比が推定された。
本発表では、H2-H2OおよびH2O-CO2間の同位体交換反応速度の違いに基づき、本手法の適用条件について検討した結果を紹介する。