2019年5月10日

Date: 16:00-18:00, Friday, May 10, 2019
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Hikaru Sawada, Ryota Fukai

日 時:2019年5月10日(金)16:00-18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:沢田輝,深井稜汰

 

講演者1:沢田輝(Hikaru Sawada)
タイトル:ジルコン微量元素分析による起源マントル組成の判別: 御荷鉾緑色岩類の例
要旨:固体地球の進化の重要な課題として、液相濃集元素に富んだ大陸地殻と枯渇したマントルへの分化が、地球史の中でいつ、どのくらい起きてきたかを解読することが挙げられる。マントル組成の推定にはその部分溶融によって生じる苦鉄質岩が有効だが、全岩分析では変成や大陸地殻物質の混入などの影響を受ける。そこで本研究では、苦鉄質岩中に含まれるジルコンの分析に注目する。今回は紀伊半島東部に露出する御荷鉾緑色岩類の角閃石岩、角閃石斑糲岩、斜長岩、ユークライトから得られたジルコンの分析結果について紹介する。

講演者2:深井稜汰(Ryota Fukai)
タイトル:初期太陽系の核合成起源Sr・Nd同位体不均質性
Title: Nucleosynthetic Sr and Nd isotopic heterogeneities in the early Solar System
要旨:太陽系の惑星は、かつて分子雲に存在した1 μmスケールの微粒子(プレソーラー粒子)などが合体成長を繰り返し形成した。プレソーラー粒子は太陽系形成以前に存在した恒星内で凝縮したため、各恒星での核合成過程を反映している。そのため地球・火星・コンドライト隕石などには、プレソーラー粒子の不均質分布に由来する非質量依存の同位体不均質性(核合成起源同位体異常)が存在する。初期太陽系の同位体不均質性は、太陽系形成モデルを構築するために重要な制約となる。本研究では、コンドライト隕石の酸分解法の改良・質量分析計(TIMS)の分析精度の向上によって、今まで存在が明らかでなかったコンドライト隕石のSr・Nd同位体異常やその相関関係を示した。Sr・Nd同位体異常は、初期太陽系におけるプレソーラー粒子の選択的熱破壊が引き起こしたと結論付けた。