2005年12月1日& 3日　桜島　SO₂放出量観測

観測者：　森　俊哉・首藤知昭・影澤博明
天候：　両日とも晴れまたは薄曇

平均放出量　　12月1日　平均放出量　290 ton/day (max: 410 ton/day, min: 230 ton/day)
　　　　　　　　　12月3日　平均放出量 470 ton/day (max: 850 ton/day, min: 340 ton/day)

噴煙の様子
12月1日
　若干雲があるがおおむね晴れ．噴煙は黒神方面に流れている．午前中の放出量観測時，噴煙自体は火口直上では目視できるが，トラバースルート上空では透明．右の写真は，午後2時過ぎ黒神北側で撮影．
　噴煙のビデオ撮影はできず，鹿児島気象台のゾンデの値を使用する．
9:00ゾンデ　約1500 m上空
風向：279°　風速：　5m/s
（桜島上空1500m GPV
　西の風　5 m/s）

12月2日
雨のため観測中止．装置の撤収作業を行う．

12月3日
午前中は薄曇で覆われている．噴煙がどちらの方向に流れているか分らない．午前9時のゾンデでは北西の風であるが，観測時は北東，東，南東の風と時計回りに風向が変化した．噴煙のビデオ撮影はできず，鹿児島気象台のゾンデ値を使用する．
9:00ゾンデ　約1500 m上空
風向：332°　風速：　 m/s
（桜島上空1500m GPV　北西風　5 m/s）

トラバース経路と噴煙方向

　12月1日と12月3日のトラバース経路をそれぞれ赤線と青線で示す．12月1日はほぼ西風で，噴煙の中心は緑色の方向に流れていた．
　12月3日はローソンから反時計回りに出発し噴煙を抜け有村付近まで行った後，時計回りの方向でローソン方面に戻ったが，噴煙はなく，桜島港を過ぎたあたりで噴煙の中心があった．その後噴煙中心は時計回りで移動して域，5回目のトラバースの時には北西方向へ流れていた．

観測結果

12月1日は7回のトラバースを行った．表1に放出量を示す．12月3日は5回トラバースを行った．表2に結果を示す．12月3日は上の地図に示したように，時間と共に噴煙の方向を大きく変えた．特に1回目と2回目のトラバースの30分の間に60°近く向きを変えている．このためか，2回目ののトラバースの放出量値が突出して大きな値となっている．

12月1日と12月3日の観測では，噴煙を目視して確認できなかったため，ビデオを用いての噴煙速度測定は行うことができなかった．そこで，噴煙速度には鹿児島地方気象台が午前9時に上げているゾンデの高度約1500mの風速値を噴煙速度として採用した．12月1日，3日の平均放出量は290 ton/day，470 ton/dayである．

気象台では 気象庁数値予報データとして桜島上空の高度1500mの風速も算出している．この値は11月19日，12月1日，12月3日の午前9時でそれぞれ3m/s，5m/s，5m/sになる．この値を使用した場合，11月19日，12月1日，12月3日の平均放出量はそれぞれ390ton/day，290 ton/day，300 ton/dayとなり，いずれも500 ton/dayをわる非常に少ない値になる．