2016年12月2日

Date: 4.00pm-5.30pm, Friday, 2 December 2016
Place: Room 1302, Main Chemistry Build.
Speaker: Yuki Tanaka
Title: Effect of Metabolic Changes in Inorganic Elements onto the Crystallinity of Hydroxyapatite in Rat Bone

日 時:2016年12月2日(金)16:00~17:30
場 所:化学本館3階講義室
講演者:田中 佑樹
タイトル:生体内の元素代謝変化が骨中のハイドロキシパタイト結晶性に及ぼす影響

無機的に合成したハイドロキシアパタイト(HAp : Ca10(PO4)6(OH)2)において は、Caが他の陽イオンと置換することで、溶解度や結晶形状などの物質が変化す ることが知られている。骨中の主 成分であるHApにこのようなミクロスケールの 元素置換が生じると、上記の物性変化と通じて、マクロな物性、すなわち骨の強 度にも影響が及ぶと考 えられ る。そこで、本研究では元素代謝の変化が知られ ている、腎臓病及び糖尿病のラット大腿骨を用いて、HAp中のCaに対する他元素 (Mg、Sr)の 置換が HApの結晶性に及ぼす影響を評価した。
元素の置換度合いは、LA-ICP-MSによる骨の局所元素分析(φ20μm)から得た信号 強度比Mg/Ca、Sr/Caにより評価した。一方、 結晶性 (結晶構造の均一さ)の評 価には顕微ラマン分光を用い、リン酸P-O伸縮振動に由来するピークの半値幅の 逆数を指標とした。
腎臓病ラットでは局所でのMg/Caと結晶性に負の相関があることが2次元的マッ ピング測定から明らかになった。さらに全動物において、Mg /Caと結晶性は同一 直線状にプロットされることから、Mgの置換が結晶性の低下に強く寄与している 可能性が示唆された。