Date: 16:00-18:00, Friday, July 18, 2025
発表者:川村英彰
Speaker:Hideaki Kawamura
タイトル:高温高圧下における還元的なC-H-O流体共存系でのマグネサイトの分解プロセス
要旨:地球上に普遍的に存在する炭酸塩鉱物のマグネサイト(MgCO3)は,無水条件下では全マントル領域に相当する温度圧力条件で安定であり,地球の超深部域に炭素を供給する重要な炭素化合物であると考えられてきた.しかし,沈み込み帯沿いに存在すると考えられる還元的なC-H-O流体(CH4やH2Oを主成分とする流体)と共存した場合,マグネサイトの安定性が大きく変化することが発表者らの高温高圧実験を通して明らかになった.本セミナーでは,発表者がこれまでに行ってきた研究の概要に加えて,出発物質の量比を制御した実験や回収試料の微細組織観察から,マグネサイトの分解プロセスに関する考察を紹介する.
発表者:高野将大
Speaker:Masahiro Takano
タイトル:高温高圧下におけるZrH₂およびZrH₃の単位胞体積変化
Title::P-V-T relations of ZrH₂ and ZrH₃
要旨:
常温常圧条件下において多くの遷移金属は水素と反応せず、水素化物は安定に存在できない。 例外的に常温常圧下で安定な水素化物を持つ遷移金属の一種として ジルコニウムZrが知られており、 常温常圧下で二水素化物ZrH₂が安定に存在することが知られている。ZrH₂は原子炉燃料の被覆材に使用されるZr合金の脆化を引き起こすため、常温および高温常圧下における物理的特性が精密に調査されてきた。
一方で、高圧条件下では水素の化学ポテンシャルが顕著に上昇し、多様な金属水素化物の形成が促進される。Zrも例外ではなく、近年では圧力9 GPa・温度873 Kにおいて三水素化物ZrH₃の合成が報告されている(Kuzovnikov+2023, Phys. Rev. Mater.) 。しかし、ZrH₂およびZrH₃の高温高圧下での体積挙動については未解明な点が多い。
本発表では、KEK PF-AR NE7Aにおける放射光X線回折実験によって得られた、ZrH₂およびZrH₃の温度-圧力-単位胞体積の関係を報告する。