2019年10月4日

Date: 16:00-18:00, Friday, October 4, 2019
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker: Hiroyuki Kagi

日 時:2019年10月4日(金)16:00-18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:鍵裕之

講演者:鍵裕之(Hiroyuki Kagi)
タイトル:天然ダイヤモンドの生成場と最近の研究動向、今後の課題など
要旨:天然ダイヤモンドは、大陸下マントルに起源をもつキンバライト、超高圧変成岩、衝撃変成を受けた隕石などに見いだされる。地質学的試料にダイヤモンドが見つかると言うことは、その試料がダイヤモンドの熱力学的安定領域である高温高圧条件に一旦置かれたことを意味するため、生成過程に大きな制約が加わる。最近になってオフィオライトや火山岩中など、これまでダイヤモンドの生成環境として知られていなかったフィールドからダイヤモンドが発見されている。一方、昨年度本研究室に滞在したKonstntin Litasov氏は、これらのダイヤモンドは工具や研磨剤などからのコンタミネーションである可能性を指摘し、8月にバルセロナで行われたゴールドシュミットコンファレンスでも議論が白熱したが、問題はまだ決着をしている状況とは言えない。本セミナーでは、私自身が超高圧変成岩に含まれるダイヤモンドの測定に取り組んだ経験を紹介し、間違いなく試料と起源を共にする(syngeneticな)ダイヤモンドと断言できた例と、なかなかそうは断言できず歯切れが悪い論文になった例を示したい。さらに、この問題に決着をつけるための指針を考え、今後の研究の可能性を示したい。