2020年1月31日

Date: 16:00-18:00, Friday, January 31, 2020
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Yang Menghao, Chikara Shito

日 時:2020年1月31日(金)16:00-18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:Yang Menghao、市東 力

講演者1:Yang Menghao
タイトル: LA-ICP-MSを用いた10nm銀ナノ粒子の肝臓急性毒性分析
ナノ粒子は比表面積が極めて大きいためマクロ粒子とは異なる特性を表すようになり、様々な分野で利用が進められている。血流に入ると、ナノ粒子は急速に体内を循環し、臓器や組織に取り込まれる。 そのためナノ粒子の毒性評価が行われている。10nm、60nm、100nm銀ナノ粒子のサイズの違いによる急性毒性の検証では、10nmの銀ナノ粒子の毒性が顕著に高いことが報告されている。本実験では、0.002mg 10nm銀ナノ粒子,0.02mg 10nm銀ナノ粒子,0.2mg 10nm銀ナノ粒子, 0.32mg 硝酸銀のそれぞれを別個体のマウスに腹腔内投与し、 投与量による急性毒性の評価を行なった。結果、その投与量により肝臓の病変形成に差が出ていた。また、同時に実施した硝酸銀の投与群と10 nm 銀ナノ粒子の0.2mg投与群に近い病変が形成された。しかしながら、 硝酸銀投与群では認められなかった変化もあった。 そこで、LA-ICP-MSを用いて銀ナノ粒子の分布と病変部位の関係を調査する。本発表では今までの結果を議論する。

講演者2:市東 力(Chikara Shito)
タイトル: β-CrOODの水素結合の温度圧力依存性の解明に向けて
Title: Pressure-temperature dependence of hydrogen bonding in β-CrOOD
β-CrOOH (guyanaite) は天然には希少な鉱物であるが、δ-AlOOHやphase Hといった沈み込むスラブ中に存在すると考えられている高圧含水相と非常に良く似た構造をもつ。これらの相はa-b平面に水素結合を形成しており、高圧下において水素結合の「対称化」を起こすということが知られている。水素結合の対称化が地球科学的に重要なのは、「対称化によって体積弾性率が増加し、地震波速度の増加をもたらす」という点にある。本研究は、水素結合対称化圧力の温度依存性を明らかにすることを最終的な目標としている。今回は、最高11 GPa, 1000 Kでのβ-CrOODの中性子回折測定の結果を発表する。また、リートベルト法を用いた結晶構造の精密化により、水素結合の温度圧力依存性が明らかになってきたので、その結果についても述べたい。