2020年11月27日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, November 27, 2020

日時: 2020年11月27日(金)16:00 – 18:00

講演者: 中里 雅樹

Speaker: Masaki Nakazato

タイトル: 飛行時間型ICP質量分析計による微粒子の元素・同位体比分析に向けた測定の高感度化

Title: Improvement of sensitivity in elemental/isotopic analysis of individual particles by ICP-Time-of-Flight-MS

 コンドライト隕石のマトリックスはおよそ10 nm~5 µmの微粒子によって構成されている(Scott and Krot, 2005)。その大半は太陽系起源の物質だが、ppb~ppmの存在量でプレソーラーグレインが混在していることが確認されている(e.g. Davidson et al., 2014)。プラソーラーグレインは主に構成元素の同位体異常に基づいて発見されており、これは個々の粒子が形成された恒星における核反応を反映したものと考えられている。そのため、プラソーラーグレインは元素合成の環境を制約する上での物質的な根拠として注目されている。特に、重元素の合成環境については未だに不明な部分もあり、これらを解明するにはプラソーラーグレイン中の重元素とその同位体を精確に測定することが重要と考えられる。そこで本研究では、ICP質量分析計(ICP-MS)を用いたプレソーラーグレインの元素・同位体比分析により、特に重元素の合成環境に関する制約を与えることを目標とする。ICP-MSでは高時間分解能測定によりnm~数µmサイズの微粒子の高速分析が可能であり、飛行時間型質量分離を用いることで微粒子ごとに元素組成分析が可能である(e.g. Naasz et al., 2018)。一方、飛行時間型ICP-MSは他の質量分離法と比べて検出感度が低く、微粒子ごとの元素・同位体比分析のためには測定の高感度化が必要であった。本発表では、脱溶媒試料導入法を用いた単一微粒子分析の高感度化を検討したので、その結果を紹介する。

講演者:織田 翔太郎

Speaker: Shotaro Oda

タイトル: フェリハイドライト共存下におけるL-アラニンの高圧下での挙動

Title:  Behavior of l-alanine in the coexistence of ferrihydrite at high pressure


 自然界に存在するアミノ酸は鉱物と共存していることが示唆されており、またアミノ酸はゲータイトや粘土鉱物等の表面に吸着することが知られている。氷天体における化学進化の可能性を探るにあたり、鉱物と共存させたアミノ酸の室温高圧条件下での挙動を検証する必要がある。本研究では、水酸化鉄の一種であるフェリハイドライトに着目した。フェリハイドライトと共存させたl-アラニンを出発試料として室温高圧実験を行い、二量体および三量体の生成率を調べた。その結果をもとに、鉱物との共存がアミノ酸の室温高圧条件下でのオリゴマー化反応に及ぼす影響について考察したい。本セミナーでは、これまで得られた結果および今後の展望について述べる。