2017年12月1日

Date: 16.00am-18.00am, Friday, 1 December 2017
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Yuki Takimoto, Kazuya Nakayama

日 時:2017年12月1日(金)16:00~18:00
場 所: 化学本館3階講義室
講演者:瀧本悠貴、中山和也

講演者:瀧本 悠貴(Yuki Takimoto)
タイトル:火山ガスモニタリングのための硫化水素および二酸化硫黄センサの開発
Title: Development of hydrogen sulfide and sulfur dioxide sensors for monitoring volcanic gases

要旨:
火山ガスは水、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄などの複数成分からなり、その組成や放出量は火山活動の観測において重要な情報である。主な観測方法としては、火山ガスを直接採取して質量分析装置で分析する方法、赤外・紫外分光法、および、化学センサや半導体センサを用いた方法があり、観測目的や観測条件などによって適切な方法が採用される。また、非分散型赤外線吸収法(NDIR)、化学センサ、半導体センサを併用した小型軽量なシステムで、複数のガス(水、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素)を観測できるMulti-GASという方法もある。ただし、硫化水素や二酸化硫黄を測定する化学センサには、応答性や(長期)安定性に課題がある。これらを改善すれば、火山ガスを細かい時間分解能で安定して長期間連続観測可能な、より良いモニタリングシステムを構築できる。
そこで本研究では、耐久性、応答性、および、選択性に優れた硫化水素、および、二酸化硫黄センサの開発を目的とし、火山ガスモニタリングへの応用を目指す。センシングには、バイオセンサやガスセンサへの応用が研究されている局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を利用する。LSPRとは、金属ナノ構造に光を照射すると自由電子の集団振動であるプラズモンが励起され、特定の波長の光が吸収される現象である。この吸収波長は金属ナノ構造近傍のガス濃度によって変化するので、その変化量を測定することでガスを検出する。LSPRの原理的にガスに対する選択性はないため、多孔質のガス吸着材をコーティングすることで選択性と感度の向上を目指す。
今回、メソポーラスシリカと金属有機構造体(MOF)を吸着材として検討した結果を報告する。

講演者:中山 和也(Kazuya Nakayama)
タイトル:X線回折法による低温高圧下におけるNaCl-H2O系の相関係の研究と新規水和物の結晶構造解析
Title: x-ray diffraction study of NaCl-H2O system under high pressure and low temperature and crystal structure of the newly discovered hydrate

要旨:
我々がよく知る普通の氷であるIh相には、塩は溶け込まずに分離することが知られている。しかし近年、NaClやLiClといった塩が高圧下で氷VII相に固溶するという報告がなされた。また、一部の氷天体において塩を含んだ内部海が存在する可能性が示唆されていることから、高圧下における塩と氷の関係を明らかにすることは重要であるが、ほとんど調べられていない。
今回の発表では、修士課程で行った低温高圧実験の結果と、その過程で見出された新規水和物の結晶構造解析について報告する。