2018年12月14日

Date: 16:00-18:00, Friday, October 12, 2018
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Chikako Fujimoto, Ayaka Saito

日 時:2018年12月14日(金)16:00~18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:藤本千賀子、斉藤綾花

要旨
講演者1:藤本千賀子(Chikako Fujimoto)
Title: Oligopeptide formation of amino acids under high pressure
タイトル:高圧下におけるアミノ酸のオリゴペプチド生成

惑星表層における生体関連分子の進化過程を解明することは、生命の起源を探る上で重要なテーマである。特に、アミノ酸のペプチド化はタンパク質生成の前段階であり、地球・惑星環境を模した前生物的条件におけるペプチド化実験が行われてきた。先行研究では温度と圧力が同時に加わるような系で行われた実験が報告されているが、アミノ酸に関して、圧力のみの影響は調べられていなかった。
本研究では今までに、アミノ酸の一種であるL-アラニンを用いた室温高圧回収実験を行っており、回収試料のLC/MS/MS分析の結果から、圧力誘起ペプチド化を見出している。今回、新たにグリシンやアスパラギン酸、グルタミン酸を用いた室温高圧回収実験を行い、圧力誘起反応での生成物を確認した。発表では、出発物質をアラニンとグリシンの混合物とした系についても紹介する。

講演者2:斉藤綾花 (Ayaka Saito)
Title : Molecular dynamics (MD) simulation of Ba-doped calcite
タイトル:バリウムを含むカルサイトの分子動力学シミュレーション

炭酸カルシウム(CaCO3)は堆積岩や生体鉱物として地球上に普遍的に存在している炭酸塩である。炭酸カルシウムには様々な多形が存在するが、常温常圧で安定なものはカルサイトである。通常、Ca2+(1.00 Å)よりもイオン半径の大きいSr2+(1.18 Å)やBa2+(1.35 Å)はカルサイトには取り込まれにくい不適合元素としてふるまうことが知られている。しかし、準安定相である非晶質炭酸カルシウム(ACC : amorphous calcium carbonate)に不適合元素であるSrをドープし、カルサイトへ結晶化させることで、カルサイトの構造中にSr2+が取り込まれ、格子体積が増大することが先行研究で報告された (Matsunuma et al., 2014; 榎本 修論 2016)。本研究では、Sr2+よりもさらにイオン半径が大きく、より不適合性が高いBa2+のカルサイトへの取り込みに成功した。さらに、得られたBa-doped calciteのXRDの結果より、ある濃度以上で構造変化が生じることが分かった。構造変化の詳細を明らかにするため分子動力学(MD)シミュレーションを進めており、本セミナーではMDシミュレーションにより得られた結果を報告する。