2019年6月7日

Date: 16:00-18:00, Friday, Jun. 7, 2019
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Kazuki Komatsu

日 時:2019年6月7日(金)16:00-18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:小松一生

講演者:小松一生(Kazuki Komatsu)
タイトル:Ice VII-VIII相転移の律速過程について
要旨:氷にはice Ihからつい最近新たに報告されたice XVIIIまで、少なくとも18種類以上もの多形が存在する。しかし2 GPa以上の圧力では、最近見つかったice XVIII (fcc)を除けば、そのほかの安定相であるice VII, VIII, Xについて、その酸素位置がbcc構造を持つという点で共通し、構造多様性は失われたように見える。しかし、ice VIIやice VIIIについては、X線回折・赤外・ラマン分光・電気伝導度・X線による解離・水素の自己拡散係数といった様々な実験において、10-15 GPa程度に異常が見られており、隠れた構造変化がありそうである。これらの10-15 GPa付近にみられる実験結果の異常の一部については、プロトンの移動様式に着目した説明がなされている。すなわち、プロトンが移動するプロセスとしては、D-, L-欠陥の移動を伴う水分子の回転運動とH3O+, OH-イオンの移動を伴う水素結合上のプロトンの移動の2種類を考え、10 GPa付近を境にして低圧領域ではDL欠陥の移動が、高圧領域ではイオン欠陥の移動が、それぞれ卓越する、というものである。本発表では、ice VII-VIII相転移の転移速度を、低温高圧その場中性子回折によって観察し、相転移の律速過程の変化がプロトンの移動様式の変化によって説明できることを示す。