2019年9月27日

Date: 16:00-18:00, Friday, September 27, 2019
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Yusuke Miyajima

日 時:2019年9月27日(金)16:00-18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:宮嶋佑典

講演者:宮嶋佑典(Yusuke Miyajima)
タイトル:非晶質炭酸カルシウムの熱・圧力誘起結晶化による局所U–Pb年代測定のためのカルサイト標準物質の合成
Title: Synthesis of calcite reference material for in situ U–Pb dating through heat-/pressure-induced crystallization from amorphous calcium carbonate
要旨:炭酸カルシウム(カルサイト、アラゴナイト)の年代測定は、地球表層・内部の環境変動や地殻変動、流体移動のタイミングを明らかにするために重要な手法である。レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析計 (LA-ICP-MS) を用いた局所U–Pb年代測定では、試料アブレーション時やICP-MS装置内でのUとPbの元素・同位体分別を補正するため、試料と同一マトリックスの標準物質が必要となる。カルサイト年代測定のための標準物質として、Roberts et al. (2017) により提案された天然のカルサイト結晶が有用であるとされているが、U、Pbの分布・同位体比が不均質であり、Pb同位体比の較正に標準ガラスの併用が必要であるという問題点が残されている。そこで本研究では、カルサイトU–Pb年代測定のための均質な標準物質を合成することを試みている。元素を添加した母液から非晶質炭酸カルシウムを沈殿させ、これを結晶化させることで、Srなどの不適合元素を取り込んだカルサイトを合成することができる (Matsunuma et al., 2014)。本研究では、この手法を応用し、UとPbを添加した非晶質炭酸カルシウムを加熱または加圧によってカルサイトに結晶化させ、その均質性と元素・同位体分別補正への有用性を評価した。その結果、合成したU、Pb添加カルサイトは元素濃度やPb同位体比は均質であるものの、U/Pb比には20点の2RSDで少なくとも3%ほどの不均質が見られた。この合成カルサイトを用いて、既存の天然の標準カルサイトのU/Pb比とPb同位体比の両方を較正し年代を測定した結果、3%前後の精度内で参照値と一致する年代値が得られた。