2020年12月11日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, December 11, 2020
Meeting ID: 327-949-041
Password: 222099
URL: https://zoom.us/j/327949041?pwd=VUQvUnJHazQydG9DQks2Rlh6NVRWUT09

日時: 2020年12月11日(金)16:00 – 18:00
ーティング ID: 327-949-041
パスワード: 222099
URL: https://zoom.us/j/327949041?pwd=VUQvUnJHazQydG9DQks2Rlh6NVRWUT09

講演者: 堀越洸

Speaker: Kou Horikosh

iタイトル: 高速多点レーザーアブレーション-ICP-MS法を用いたSiCの迅速化学分析

Title: Rapid analysis of SiC using multiple spot laser ablation-ICP-MS

半導体とは導体と絶縁体の中間的な性質を持つ物質である.半導体の代表例としてシリコン(Si)が挙げられる.Siは資源が豊富であり,加工がしやすいという特長がある.そのため,パソコンやスマートフォンなどにSiを基盤とした半導体が使われている.しかし,Siは熱や高電圧に弱いためにデバイスの不具合を招く可能性がある(e.g., Millán et al., 2014).Siの代替材料の一つとして,ワイドバンドギャップ半導体(WBGS)が用いられている.WBGSは高温での動作が可能であるため,WBGSを使うことでデバイス内の冷却装置が不必要となり,デバイスの小型化が期待できる. 今回,WBGSの中でも特に炭化ケイ素(SiC)に着目した.

SiC半導体は極めて高い純度が必要である.SiC半導体中の金属汚染により,デバイスの短寿命化や絶縁破壊強度の低下を招く可能性がある.そのため,デバイスの品質を管理するためにも半導体中の不純物の分析をする必要がある.Siではフッ化水素酸を用いる気相分解法(VPD)によって不純物を分析しているが,SiCは酸耐性が強いためVPDを適用することが困難である.そのため,SiCの分析ではSIMS(Wittmaack., 1998)やGD-MS(Jäger et al., 1997),LAL-ICP-MS(Machida et al., 2017)を用いられている.SIMSやGD-MSを用いたSiCの分析ではマトリックス効果が大きいために複数元素の定量には適しておらず,LAL-ICP-MSを用いたSiCの分析では溶液分析となるため,正確な位置情報が失われる.そのため,高速多点レーザーアブレーション-ICP-MS法(msLA-ICP-MS)(Makino et al., 2019)を用いたSiCの分析を検討した.msLA-ICP-MSでは標準添加法の適用が可能であるため,元素の定量限界が向上する.また,SiC中に含まれる不純物の位置情報が得られるため,不純物の濃集相の特定が可能となる.

今回はSiC中の不純物の濃集相の特定のために予察的実験として,粉末のSiCを使用して実験を行った.具体的には粉末のSiCからペレットを作製し,標準物質としてNIST SRM 612, NIST SRM 614を用いて標準添加法を行った.その際に得られた信号プロファイルを分析し,SiC中の不純物の濃集相の特定を行った.今回の発表ではその結果について報告する.


講演者: 栗原かのこ

Speaker:  Kanoko Kurihara

タイトル:ナノ粒子の組成・サイズ同時評価ソフトウェアの開発

Title:Development of software for simultaneous evaluation of composition and size of nanoparticles

重元素(原子番号がFe以降の元素)は主にs-processとr-processと呼ばれる核反応により合成されている (Burbidge et al., 1957)。s-processの合成環境や合成過程はおおよそ明らかになっているが、r-processの合成環境や合成過程は未だ解明されていない部分が多い。そのため、r-process核種の合成環境を制約するための物質的な根拠が必要である。そこで、隕石中のプレソーラーグレインに注目した。

プレソーラーグレインは太陽系形成以前の情報を保持している粒子であり、主成分軽元素の同位体異常により同定されている(e.g. Zinner, 1998)。プレソーラーグレインの元素組成・同位体組成は粒子形成時の核反応を反映していると考えられており、このような組成の情報から元素の合成環境を制約することが可能である(e.g. Hoppe and Ott, 1997)。本研究では、r-process核種の合成環境を制約するために、プレソーラーグレイン中の重元素の元素組成・同位体組成を測定することを目指す。また、プレソーラーグレインは隕石中にng/g-µg/gと少量しか存在していない(e.g. Zinner, 1998)ため、発見するためには一度に多くの粒子を測定する必要があると考えられる。そのため、測定には短時間で多くの粒子を測定(>100粒子/分)することが可能であるICP質量分析計(ICP-MS)を用いることを検討している。

隕石内の微粒子(プレソーラーグレイン)を抽出する方法として液中レーザーアブレーション法(LAL法) (Okabayashi et al., 2011)が挙げられる。隕石からLAL法により抽出した粒子は様々なサイズ・組成を持っている。また、分析する際には一度に多くの粒子を測定する。そのため、膨大な数の粒子のサイズと組成を同時に評価するソフトウェアの開発が必要である。

今回は、粒子のサイズと元素組成を同時に評価するソフトの開発を行い、動作の確認を行った。その後、ステンレスSUS310S(Fe:50-55%、Cr:24-26%、Ni:19-22%)からLAL法により生成した粒子を飛行時間型ICP-MS(TOFWERK社製 icp TOF R)にて測定したデータを用い、ソフトウェアにより得られる結果の妥当性を評価した。

本発表では、開発したソフトウェアの機能と、実験により得られたデータをソフトウェアで表示した結果について紹介する。