2023年10月27日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, October, 27, 2023

発表者:村岡賢佑
Speaker: Kensuke Muraoka

タイトル:ACCの結晶化においてブチルアミンが与える影響
Title: The effect of butylamine on crystallization from ACC

炭酸カルシウムCaCO3には無水多形として、カルサイト、アラゴナイト、ファーテライトがあり、これらの多形に加えて非晶質相(Amorphous Calcium Carbonate; ACC)がある。カルサイトは常温常圧で最安定、アラゴナイトは高温高圧で安定、ファーテライト、ACCは準安定相である。これらはバイオミネラルとして普遍的に存在し、ACCが結晶相の前駆体となっている。ACCは容易に結晶化するが、カルサイトやファーテライトの結晶化の報告に比べて、アラゴナイトへの結晶化の報告は少なく、またそのメカニズムも議論が続いている。

特定の添加物を加えたり水溶液のpHを調整することでアラゴナイトを選択的に生成できることが報告されている。たとえば、Ca(OH)2懸濁液にブチルアミンや1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサンを加えると、アラゴナイトに富んだCaCO3結晶が得られ、CaCl2水溶液とNaHCO3水溶液を混合する際に、Mg2+を添加するとアラゴナイトが得られる(Chuajiw et al., 2013; Hayakawa et al., 2008)。また、CaCl2水溶液とNa2CO3水溶液を混合する際にエタノールや2-プロパノールを添加するとアラゴナイトの生成が促されるものや、CaCO3水溶液をHClやNaOH水溶液でpHを調整すると、添加物を加えずともpH11付近でアラゴナイトが優位に生成するという報告がある(Sand et al., 2011: Tai and Chen, 1998)。ACCを出発物とした場合、ACCをエタノールに分散させることでもアラゴナイトが得られる報告がある(Zhang et al., 2012)。アラゴナイトが選択的に得られる要因は複数提案されており、またACCが出発物となる場合ではどのような経路で結晶化するかが議論されている。

本研究では、ACCがなぜアラゴナイトに結晶化するか、またその経路に着目した。ACCをブチルアミン水溶液中で結晶化させ、得られた結晶をXRD、IR、SEMなどで分析し、その結果からブチルアミンがACCの結晶化に与える影響を考察する。

発表者:名和大輝
Speaker: Hiroki Nawa

タイトル : 生体試料中のタンパク質と金属の同時検出法の開発
Title : Development of a method for multaneous detection of proteins and metals in biological samples.

 生命現象の多くには生体中の微量金属元素が関与しており、それらの役割を総合的に解析しようという学問領域を「Metallomics」と呼ぶ。例えば、アルツハイマー患者の脳では、正常な脳に比べ多くのZn, Mn, Cu, Feなどが含まれることが特徴的であり、金属イオンとタンパク質の相互作用が発病に関与しているという仮説が長年議論されている(e.g. Adlard et al., 2006)。生体中のタンパク質と微量金属の関係についての研究の重要性は増している。
 そこで本研究では、金ナノ粒子をタグ付けした抗体を用いることで、LA-ICP-MSを用いてターゲットとなるタンパク質を検出する方法に注目した。本発表では他の分析法に対する本研究の優位性や、研究の進捗について説明する。