2024年4月19日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, April, 19, 2024

発表者 : 栗原 かのこ
Speaker : Kanoko Kurihara

タイトル:黄鉄鉱の液中レーザーアブレーションとレーザーアブレーションにより生成される粒子の比較
Title: Comparison of particles produced by laser ablation in liquid (LAL) and laser ablation (LA) of pyrite

液中レーザーアブレーション(LAL)法は、溶媒中で固体試料にレーザーを照射することにより、微粒子を生成・抽出する方法であり(e.g., Mafuné et al., 2000)、高効率な微粒子の生成法として近年着目されている(Streubel et al,, 2016)。
黄鉄鉱(FeS2)は水により酸化される(Garrels and Thompson, 1960)ことから、LAL法においても溶媒(水)と反応すると考えられる。黄鉄鉱のLAL法により生成された微粒子を分析することにより、LALにおける微粒子生成や、固体試料と溶媒との反応のメカニズムの解明につながる。
今回は、LAL法における溶媒の影響を詳細に知るために、レーザーアブレーション(LA)との比較を行った。黄鉄鉱に対して水を溶媒に用いたLALとAr雰囲気中でのLAを行い、それぞれの手法で得られた微粒子の個別元素組成分析の結果を発表する。LALとLAで得られた微粒子の組成を比較することにより、黄鉄鉱のLALにおける溶媒の影響について考察する。

発表者 : 名和大輝 
Speaker : Hiroki Nawa

タイトル: バリア放電イオン化法を用いた揮発性有機化合物の測定
Title: Analysis of volatile organic compaunds (VOCs) using dielectric barrier discharge ionization (DBDI)

常温・常圧で大気中に揮発する有機化合物の総称をVOC (Volatile Organic Compaund) という。VOCは主に、自動車や石油精製、塗料などから発生し、大気中への高濃度の放出は公害や健康被害を引き起こす。そのため、VOCには排出基準が定められている。
VOCの測定としては、ガスクロマトグラフィー (GC) と電子衝突イオン化法 (EI) を組み合わせたGC-MSがよく用いられる。EIはハードなイオン化法であり、VOCをイオン化する際に分子が開裂してできるフラグメントイオンが多く生成する。そのため、GCによる試料の分離が必要不可欠であり、測定に時間を要してしまう。
そこで本研究では、平田研のレジェンドであるKhooさんによって開発された、バリア放電イオン化法 (DBDI) に注目した。DBDIは大気圧イオン源であり、容易な試料導入が可能である。また、DBDIはソフトなイオン源であり、分子イオンまたは擬分子イオンが基準ピークとして得られることが期待できるため、試料の分離を必要としない迅速な分析ができる可能性がある。
今回は、DBDIを用いていくつかの性質の異なる有機分子を測定し、どのようなマススペクトルが得られるかのデータを取得したので、その結果と考察を共有する。