2024年10月25日

Date: 16:00-18:00, Friday, October 25, 2024



講演者:森 悠一郎
Speaker: Yuichiro MORI

タイトル:高圧下における鉄水素化物の温度に対する逐次X線回折
Title: Sequential X-ray diffraction of iron hydrides respect to temperature at high pressure

要旨:
高温高圧下で強親鉄性を示す水素は地球核の有力な軽元素である。高圧下で固溶した水素原子は鉄の格子間サイトを占有して鉄水素化物を形成するが、その際に顕著な体積膨張を示す。水素原子が固溶することによる単位胞の体積膨張は水素誘起体積膨張と呼ばれ、核の密度欠損を満たすような水素量を見積もる上で非常に重要な概念である。水素誘起体積膨張は、ある温度圧力条件における鉄水素化物の体積と純鉄の体積差を溶け込んだ水素量で除することで求められる。この物理量は、上記各々の物質が有する状態方程式によって決定されるため、温度・圧力の依存性があると考えるのが自然であろう。純鉄の状態方程式は多くある。他方、鉄水素化物の温度圧力体積関係はfcc-FeHxでのみ探索されており、内核を構成する鉄合金の結晶構造候補であるhcp構造を持つhcp-FeHxや強磁性が出現するdhcp構造を持つdhcp-FeHおいては制約されていない。本発表では、高温高圧環境における放射光X線回折によって決定したdhcp-FeHならびにhcp-FeHxの、特に温度方向に詳細な、温度圧力体積関係を紹介する。



講演者:松岡 友樹
Speaker: Tomoki MATSUOKA

タイトル:LA-ICP-MSを用いたPlešovice Zirconの3Dイメージングにおけるレーザー掘削手法の開発
Title: Authentic 3D imaging of Plešovice Zircon using LA-ICP-MS coupled with slicing

要旨:
 年代測定のスタンダードとして用いられるZirconは部位によってU-Pb比が変化し、年代値が異なる事が知られている(Chew et al., 2017)。また深さ方向でもU-Pb比は変動するため(Nakazato et al., 2022)、Zirconの形成年代や成長履歴を正確に把握するためには、三次元の元素分析(3D imaging)が必要となる。3D imagingには主要元素と微量元素の同時分析が可能なLA-ICP-MSを使用し、3D imagingのために2Dのimagingを深さ方向に多数取得して積層する。次の層の2D imagingを取得するためには表面を削り出す作業が必要であり、従来の方法では研磨シートを用いていた。この方法では2D imagingを一枚得られるたびに装置から取り出すため、レーザー照射位置がずれるのに加え、多大な労力と時間を要する。本研究では分析時に使用するレーザーで試料の掘削も行う事のできるレーザー照射条件と装置構成を検討した。加えて検討した条件でレーザーによる試料の掘削を行い、20レイヤーを積層したPlesovice Zirconの3D imaging結果についても紹介する。