2017年2月17日

Date: 4.00pm-5.30pm, Friday, 17 February 2017
Place: Room 1302, Main Chemistry Build.
Speaker: Chikako Fujimoto
Title: Structural change and reaction of amino acid under high pressure

日 時:2017年2月17日(金)16:00~17:30
場 所:化学本館3階講義室
講演者:藤本 千賀子
タイトル:高圧下におけるアミノ酸の構造変化と反応の観察

惑星表層における生体関連分子の進化過程を解明することは、生命の起源を探る上で重要なテーマである。特に、アミノ酸のペプチド化はタンパク質生成の前段階であり、地球・惑星環境を模した前生物的条件におけるペプチド化実験が行われてきた。たとえば、熱水噴出孔を模した高温高圧実験や、隕石の衝突を再現した衝撃圧縮実験などでペプチド生成が報告されている。
しかし、高温高圧実験や衝撃圧縮実験では、アミノ酸には圧力と同時に温度が与えられており、圧力のみをかけた圧力誘起反応は調査されてこなかった。そこで、本研究ではアミノ酸に室温で圧力のみを与え、圧力誘起反応を観察しようと試みた。さらに、脱水縮合反応であるアミノ酸のペプチド化への、水の有無による影響も調査した。
前回の発表で、L-アラニンに対して室温下で①対向アンビルを用い5~16 GPaの圧力をかける実験、②マルチアンビルを用い18~23 GPaの圧力をかける実験、③対向アンビルを用いた低温加圧実験の3種類の実験を行い、LC-MSで分析した結果を報告した。どの実験でもアラニンの重合が確認でき、最長で11量体まで観察された。
LC-MS分析の際、2,3量体に関しては購入した試薬を標準物質として、実際の保持時間やm/zを確認できている。しかし、3量体より長いペプチドに関しては標準物質を保有しておらず、サンプルとの比較を行っていなかった。
今回の発表では、標準物質となるアラニンペプチドの合成実験について、手法・結果・問題点を報告する。さらに、重水素化アラニンを用いて定量分析の内部標準を合成する試みについても言及する。