2020年2月21日

Date: 17:00-, Friday, February 21, 2020
Place: Faculty of Science Bldg.1. Room #710
Speaker:Fumiaki Tsunomori, Toshiya Mori

日 時:2020年2月21日(金)17:00-
場 所:理学部1号館710号室
講演者:角森史昭、森 俊哉

講演者1:角森史昭(Fumiaki Tsunemori)
タイトル:地下水溶存ガスによる地震活動と火山活動の観測
Title: Monitoring of Seismic and Volcanic Activities by Dissolved Gas in Groundwater
本宮地域(和歌山県)と熊本・阿蘇地域(熊本県)で実施している地下水溶存ガスによる観測の現状を紹介します。
 地下水や温泉は、断層に沿って上昇する地殻起源ガスや火山山体から放出されるガスなどを含むことがあるため、これらを定期的に観測することは地震活動や火山活動の推移を評価することにつながります。そこで、深部低周波地震が観測されている本宮地域に設置された観測井において地下水溶存ガス観測を開始しました。また、近い将来に比較的大きな噴火が懸念されている阿蘇山がそばにあって2016年に熊本地震を引き起こした布田川・日奈久断層帯においても観測を準備しています。これらの観測の方法と期待される観測結果について紹介します。

講演者2:森 俊哉(Toshiya Mori)
タイトル:西南日本の離島火山における二酸化硫黄放出率のモニタリング
Title: Sulfur dioxide flux monitoring for remote volcanic islands in SW Japan
令和元年度から始まった文科省の建議「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の研究において、地殻化学実験施設では、火山ガス観測技術の高度化を担当している。その中で、火山ガス観測の頻度が低い、離島火山や遠隔地の火山に展開可能な技術の開発を目指している。九州から南へと延びる南西諸島には活発な噴煙活動を続ける諏訪之瀬島や薩摩硫黄島がある。日本では、平常時の二酸化硫黄放出の94%以上を、6つの火山で占めていることが知られているが、先述の2火山はこの6つの火山に含まれる。また、両火山は、世界的に見ても、定常的に二酸化硫黄を放出する火山のトップ50に入っている。両火山は、大きな二酸化硫黄放出源であるにもかかわらず、これまで火山ガス放出観測がほとんど行われてこなかったのが現状である。諏訪之瀬島と薩摩硫黄島での二酸化硫黄放出率観測を強化するため、昨年12月に、この両島に向かうフェリーに、紫外分光計をベースにした装置を設置させてもらい、火山ガス放出率観測を開始した。セミナーでは、フェリー観測の状況を紹介するとともに、これまで得られた結果について報告する。