2017年7月7日

日 時:2017年7月7日(金)16:00~18:00
場 所: 化学本館2階講義室
講演者:高橋 修也

タイトル: 室温における圧力誘起エステル化反応のその場観察
Title: In-situ observations of pressure-induced esterification at room temperature

要旨:
液相有機合成の分野において、通常では進行しないような反応が圧力(~数GPa)に
よって誘起されうることが知られており、これまで様々な基礎反応について高圧条件
下での振舞いが調べられてきた。カルボン酸とアルコールを出発物質とした無触媒エ
ステル化反応については、高温条件では加圧により反応速度が増加することが明らか
にされている。しかしながら、室温におけるその場観察を伴った高圧実験はこれまで
行われておらず、室温高圧条件下でのエステル化反応進行の可否やその際の相関係に
ついては調べられていない。エステルは生体内でリン脂質や油脂として存在している
ため、比較的低温でのエステル化反応の進行条件を探ることは、出発物質のキラリ
ティーを保持した分子進化の過程の提案にもつながる可能性がある。
本研究では、比較的単純な構造を持つ酢酸とメタノールを様々な割合で混合し、ダイ
ヤモンドアンビルセルを用いた高圧実験を室温で行った。X線回折と顕微ラマンによ
るその場観察の結果から、室温でも反応が進行すること、及びその際に出発物質の組
成(酢酸とメタノールの比)が重要であることが明らかとなった。本セミナーでは、
これまでに行った実験の結果と今後の実験の予定について報告する。