2019年2月8日

Date: 14:45-16:45, Friday, February 8, 2019
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Naoki Yamaguchi, Ryo Ishiyama

日 時:2019年2月8日(金)14:45-16:45
場 所:化学本館3階講義室
講演者:山口 尚希, 石山 遼

講演者1:山口 尚希(Naoki Yamaguchi)
タイトル: 高圧でのCYCU-3の骨格挙動とメタノールの選択的取り込み
Title: Behavior of CYCU-3 structure and selective uptake of methanol at high pressure

要旨:
多孔質材料は構造中にナノメートルオーダーの細孔を持ち、その大きさにあった分子を構造中に取り込むことができる。現在ではこの特性を生かし、主に流体の吸着、分離、貯蔵などに利用されている。
近年、Metal Organic Framework (MOF) が新たな多孔質材料として盛んに研究されている。MOFは金属イオンと有機配位子から成る高分子であり、従来の多孔質材料に比べ、大きい比表面積や構造の設計性・柔軟性の点で既存のものよりも優れている。
しかしMOFの分野で盛んに研究されているのはガス吸着や触媒作用についてであり、圧力に対する応答に注目した研究はあまり多くない。MOFに高圧を印加するとアモルファス化、圧縮、高圧相転移などを起こすことが知られている。またMOFと圧力媒体の組み合わせによっては、圧力の増加に応じて媒体が空孔内に押し込まれ、体積が増加するといった現象も報告されている。さらに細孔内の分子はバルク体とは異なる性質、構造を発現することがあり、そのような新規構造にも興味が持たれる。
そこで本発表では、アルミニウムと4,4-スチルベンジカルボン酸から成るMOFであるCYCU-3を用いた高圧実験の結果について報告する。

講演者2:石山 遼(Ryo Ishiyama)
タイトル:Evaluation of optical selectivity in pressure-induced polymerization of alanine using solid-phase synthesis
Title: 固相合成法を用いたアラニンの圧力誘起重合反応における光学選択性の評価

要旨:
生命の起源へとつながる化学進化を考えるうえで、生命の構成要素であるタンパク質を形成しうるアミノ酸の重合反応は重要だといえる。アミノ酸の起源、その重合反応の解明のため、特定の環境・条件を模した実験や隕石中のアミノ酸の分析等が行われている。私たちの研究室では、常温高圧条件を想定してアミノ酸の重合反応にアプローチしており、すでに常温高圧条件でのアラニンの重合反応が確認されている。比較的低温なためラセミ化が起きにくいと考えられるが、この条件が生命のホモキラリティの獲得へのヒントになるのではないかと考えている。本研究では常温高圧化でのアラニンのペプチド化に際して、光学選択的に合成が進むかを実験的に測定することを目標としている。今までの測定では、L-アラニル-L-アラニンに対してD-アラニンがより付加しやすいという結果が得られており、実験結果の妥当性を評価するための実験を現在進めている。今回は一般的なペプチド合成法である固相合成法と高圧実験の結果との比較について報告する。