2020年4月17日

Date                       : 16:00-18:00, Friday, April 17, 2020
Speaker               :Hidekazu Miyahara

日 時:2020年4月17日(金)16:00-18:00
講演者:宮原秀一

講演者:宮原秀一(Hidekazu Miyahara)
タイトル:魅惑の大気圧プラズマワールドへのご招待
Title: The tempting of atmospheric plasma world
固体、液体、気体に続く、物質の第四の状態と称されるプラズマは、サイエンス
の用語で説明すると「電子、イオン、中性粒子(原子、分子)が混在した状態」
としか言いようのない、極めて面白みに欠ける現象に過ぎない。しかしプラズマ
の持つ潜在能力は計り知れず、太古の昔には生命誕生の一役を担っていたとされ、
また、現代の高度情報化社会に不可欠である集積回路も、プラズマなしには生産
することができない。夏の夕刻、暗雲の中に光り輝く稲妻は、紛れもなく自然が
作り出すプラズマの芸術であり、歓楽街を彩るネオンサインもプラズマであるこ
と変わりなく、なぜかいたずらに人を魅了する。
さて、単なる「産業の道具としての魅力」のみならず芸術的な美しさも兼ね備え
たプラズマであるが、人間がプラズマをコントロールできるようになったのは18
世紀初頭、我々の生活態様を変化させるのに一役を担うようになったのも、この
50年と割と最近の話である。しかしそのプラズマの歴史に近年、劇的な変化がも
たらされた。「大気圧プラズマ」と「低温プラズマ」の登場である。これまでお
釜(真空容器)の中でしかその活躍の場を許されていなかったプラズマが、植物
や動物、はたまた人間とも同衾できるようになったことで、生命科学や医療の分
野へと研究のすそ野が急速に広がったのである。
無論、自然科学の縁の下の力持ちと称賛されている分析化学の分野においても、
こうした「新世代のプラズマ」の活躍が期待されており、特にサンプリング工程、
試料前処理工程に関する研究は実用化直前の段階である。一方で、生成されるプ
ラズマの理解・診断のためには、分析化学の力を借りなくてはならず、この相補
的な関係が、より分析化学とプラズマの親和性を高めていると言っても過言では
ない。その動向はとても興味深いので、当日はこうしたことも織り交ぜ、プラズ
マの魅力について発表する。