2020年6月26日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, June 26, 2020
Meeting ID: 327-949-041
Password: 222099
URL: https://zoom.us/j/327949041?pwd=VUQvUnJHazQydG9DQks2Rlh6NVRWUT09

日時: 2020年6月26日(金)16:00 – 18:00
ミーティング ID: 327-949-041
パスワード: 222099
URL: https://zoom.us/j/327949041?pwd=VUQvUnJHazQydG9DQks2Rlh6NVRWUT09

Speaker: Norika Numa
講演者: 沼 倫加
タイトル:ICP質量分析計を用いた隕石中のナノ粒子の白金同位体比測定
Title: Isotopic analysis of Pt from nanoparticles in meteorites using multiple collector ICP-mass spectrometer (MC-ICP-MS)
 惑星の内部構造や生命存在可能性を決定づける重要構成成分である重元素(鉄よりも重い元素)は、主にs-processとr-processにより合成される。s-process由来の元素はAGB星で作られることが考えられているが、r-process由来の元素の合成環境はいまだよくわかっていない。そこで、r-process核種の合成環境を制約するための物質学的な根拠が必要である。
隕石中には微粒子が存在し、その一部の微粒子が同位体異常を示す。これは、太陽系以前の組成が保存された結果と考えられており、プレソーラーグレインと呼ばれる(Lewis and Anders, 1983)。先行研究では、軽元素の同位体組成により同定されたプレソーラーグレインの白金同位体比を測定し、r-processの形成環境を推定が試みられた (e.g. Ott et al., 2012) 。そこでは、r-processの寄与のみで生成されたとされる 198 Ptを用いて推定を試みているものの、 198 Ptの存在量の少なさ故、正確な測定が困難であった。そのため、高感度の多重検出器型ICP質量分析計を用いることで正確な議論ができると考える。
今回は、その予察的実験として、存在量が高くまた干渉の少ない 194 Pt, 195 Pt, 196 Ptを用いた隕石中の微粒子の白金同位体比測定を行い、隕石中の白金の存在量や分析精度について検証を行った。隕石中からナノ粒子をとりだす方法としては、液中(または液相)レーザーアブレーション法(LAL法)(Okabayashi et al., 2011) を用いた。本発表では、実験結果と今後の課題について議論する。

Speaker: Chikara Shito
講演者: 市東 力
タイトル: beta-CrOODの水素結合の温度圧力依存性 Title: Pressure-temperature dependence of hydrogen bonding in beta-CrOOD 

 地球に存在し、構造水として水を含む鉱物は「含水鉱物」と呼ばれ、10wt%以上の水を
含むことができる。この「水」はOH基として取り込まれており、一般に、水素原子は隣接
する2つの酸素原子のうち、片方と共有結合、もう一方と水素結合を形成している。近年
の中性子回折実験により、含水相の一種であるdelta-AlOOHの水素原子が高圧下において酸
素原子間でディスオーダーすることが明らかになり、このディスオーダーが鉱物の圧縮率
、地震波速度などの物性値に大きな影響を与えるということが明らかになった (e.g. Sano-
Furukawa et al., 2018)。
 本研究では、合成したbeta-CrOOH (guyanaite) を用いて実験を行った。beta-CrOOHはdelta-
AlOOHと等しい構造を持つ含水鉱物であり、常圧での水素結合距離は2.47 Å (Fujihara et al.,
2002) と非常に短いため、delta-AlOOH (2.54 Å) よりも低圧で水素原子のディスオーダーが
起こると考えられる。ただし、今回は軽水素による非干渉性散乱を防ぐため、試料は重水
素化したものを用いた。実験は、茨城県東海村のJ-PARC MLFにあるBL09 (特殊環境中性子
回折装置 SPICA)とBL11 (超高圧中性子回折装置 PLANET)で行った。BL09では温度20 Kか
ら560 K(常圧)、BL11では圧力1 GPaから18 GPa(常温)の条件でその場中性子回折パタ
ーンを取得し、リートベルト法を用いた結晶構造の精密化を行った。
 300 K以下で測定された中性子回折パターンでは、現在までbeta-CrOODの空間群として考
えられていたP2 1 nm (31)やPnnm (58) では指数付けできないピークが観測された。そのため
、新たな空間群で指数付けが可能であるか調べてみると、P2 1 /c (14) (擬直方格子 B2 1 /d) で
あると推定された。しかし、新たに出現したピークはいずれも非常に弱く、厳密な構造精
密化はできていない。また、常温高圧中性子回折では、約4GPaで軸比b/cの折れ曲がりが観
測された。Sano-Furukawa et al. (2018) の結果と比較すると、この折れ曲がりは水素原子の
オーダー/ディスオーダーに起因する相転移を表すと考えられる。一方、現在までの高温高
圧中性子回折の結果とBL09で取得した常圧でのデータを比較すると、その相転移圧力は負
の温度依存性を持つことが示唆された。今回は、現在まで取り組んできた含水鉱物の水素
結合の温度依存性に関する議論を中心に行いたいと考えている。