創立40周年研究集会

日 時:2019年3月23日(土) 13:00~17:45
場 所:東京大学農学部セイホクギャラリー

懇親会:フォレスト本郷(18:30~21:00)

 

【開催趣旨】

地殻化学実験施設は、昭和53年(1978年)4月に理学部の附属施設として新設された。「地殻化学」という名称は理化学辞典や地学事典に掲載された学問分野ではなく定義が曖昧である。さらに対応する英語名もない。この名称が採用された背景には、地震を地球化学的に研究することの新規性と重要性が世界的に認められた時代であり、将来、地殻化学研究がさらに拡大することを念頭に置いて名付けられている。研究分野は、創設当初の期待通りに、地震化学だけでなく火山化学、海洋底化学、地球深部化学、宇宙化学、生命化学と地球化学の広い分野を横断しており、地球惑星で起きているさまざまな現象を化学的な側面から解明する国内外でも特色のある研究教育機関として成長を続けてきた。施設構成メンバーの研究対象は大きく深化・拡大している。「地殻化学」という名称は、こうした長年にわたる研究の多様化を包容する懐の深さがあり、現在もなお、その言葉の新鮮味は失われていないように感じる。地殻化学実験施設は依然としてその研究分野を拡大・成長を続けている。そしていま、更なる発展を遂げるための転換期を迎えようとしている。学術研究の急速な多角化・多階層化・高速化の時代を迎え、時間をかけてじっくりと基礎研究を続けることが難しくなっている。しかし地殻化学実験施設が取り入れてきた「化学的な手法で地球の現象を理解し、次世代の研究者を育成する」という基本的な理念は今も不変である。

地殻化学実験施設は今年で創立40周年を迎える。これを機会に、諸先輩、OBの皆様と現構成員との情報交換を行い、研究交流を深化する機会として研究集会と交流会を開催することとした。
(平田岳史・施設長)

 

【研究会プログラム】

[セッション1] 座長 森俊哉
13:00 平田岳史(東大) 地殻化学実験施設の近況
13:20 遠嶋康徳(環境研) 大気中酸素濃度の観測から分かること
13:30 遅野井祐美(環境研) 放射性炭素同位体比測定による大気二酸化炭素モニタリング
13:40 坂本稔(歴史民俗博物館) 炭素14年代法と年代研究
13:50 角皆潤(名大) 地殻化学から生物地球化学へ、希ガス同位体比から軽元素安定同位体比へ
14:00 休憩

[セッション2] 座長 角森史昭
14:10 清水綾(東京都産技研) 都産技研在籍メンバーからの近況報告-東京の産業と、ともに歩む-
14:30 神谷奈津美(防衛大) 燃料化学講座の教官として
14:40 羽場麻希子(東工大) 東工大横山研究室・羽場の研究紹介
14:50 中嶋大輔(東北大) Al-Mg同位体比分析に基づく宇宙塵の形成年代
15:00 馬上謙一(北大) 太陽風起源希ガスを持つ炭素質コンドライトのヘリウム同位体イメージング
15:10 休憩

[セッション3] 座長 小松一生
15:20 角野浩史(東大) あらゆる試料の希ガス同位体比を分析できる研究室をめざして
15:30 安塚孝治(群馬大学医学部付属病院) Route 17
15:40 山本順司(北大) 知の交差点
15:50 大澤崇人(JAEA) 多関節ロボット等の各種制御技術を用いた自動分析技術
16:00 野口直樹(徳島大) 惑星内部の流動を実験で観察する
16:10 荒川雅(九大) 反応に関与する原子・分子数を精密に制御したクラスター化学
16:20 休憩

[セッション4] 座長 飯塚理子
16:30 則竹史哉(山梨大) 地球科学から材料科学
16:40 纐纈佑衣(名大) より良い分析データ取得を目指して:岩石試料準備の注意点と試行錯誤
16:50 平野直人(東北大) 太平洋プレートとアセノスフェアを調べた10年~海山・プチスポット・緑色岩
17:00 水上知行(金沢大) 含水条件におけるかんらん石の再結晶と変形挙動
17:10 有馬寛(CROSS) J-PARC MLFでの高温高圧中性子イメージングによる水素拡散のその場観察
17:20 沖山佳奈子(JAXA) キュレーションの活動紹介
17:30 Xu Sheng(天津大) Accelerator Mass Spectrometry Laboratory at Tianjin University
17:40 鍵裕之(東大) おわりに