2024年2月16日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, February, 16, 2024

発表者:鍵 裕之
Speaker: Hiroyuki Kagi

タイトル:地球内部でアラゴナイトは非晶質化するか?
 
バイオミネラリゼーションと関連して非晶質炭酸カルシウムに関する多くの研究がなされてきた。最近は地球内部科学でも非晶質炭酸カルシウムが着目されている。炭酸カルシウムの多形の一つである

カルサイトは高温条件で炭酸イオンが無秩序状態になることが知られており、我々もBaを多く含み単位胞体積が顕著に増加したカルサイトでも室温条件で炭酸イオンの無秩序化を報告した。一方、高温高圧条件での炭酸カルシウムの多形関係は議論の余地がある。Hou et al. (2019)はParis-Edinburghプレスを用いた高温高圧実験から、4GPaから5 GPaの圧力領域で、1100 Kから1200 Kの温度以上でアラゴナイトが非晶質化し、液体同様の低密度相となって炭素循環に大きな影響を及ぼすという結果を発表した。この論文に触発され、KEK PF ARで天然アラゴナイトを出発資料とした高温高圧下でのX線回折実験を行った。セミナーでは現在まで得られている実験結果を報告し、アラゴナイトの非晶質化の可能性について議論する。