Date: 16:00-18:00, Friday, February 6, 2026
講演者:赤荻正樹
Title:Role of majorite garnet on the post-spinel transition at the mantle 660-km discontinuity
タイトル:マントルの660㎞不連続面で起こるポスト・スピネル転移におけるメジャライトガーネットの役割
要旨:
マントル遷移層と下部マントルの境界である660㎞不連続面では、遷移層の主要構成鉱物 (Mg0.9, Fe0.1)2SiO4リングウッダイトが「ポスト・スピネル転移」(リングウッダイトからブリジマナイト+フェロペリクレスへの分解)を起こすことが広く知られている。そのため、主成分Mg2SiO4のポスト・スピネル転移境界線の位置をP-T相図上で精密に決定し、境界線の負勾配の大きさを決める研究が数多く行われてきた。しかし深さ660㎞から数10㎞にわたって「ポスト・ガーネット転移」(Al2O3含有メジャライトガーネットのブリジマナイトへの転移)も起こり、両方のブリジマナイトは固溶体を形成する。このメジャライトの存在がポスト・スピネル転移に及ぼす影響について、従来は詳しく調べられていなかった。今回報告する実験では、Mg2SiO4のポスト・スピネル転移境界線に及ぼすAl2O3成分などの影響を、川井型マルチアンビルによる高温高圧実験により調べた。マルチ・サンプル・セル法で3~4個の異なる試料を同じ圧力温度条件下に置くことにより、組成の違いによる小さな圧力差を決めた。その結果、メジャライトが共存するAl2O3含有系ではMg2SiO4に比べて、1200-1600°Cではポスト・スピネル転移の転移圧が0.5-1 GPa程度低下し、相転移境界線がより小さな負の勾配を持つことが明らかになった。これらの結果は、マルチ・サンプル・セル法でパイロライトのポスト・スピネル転移境界線とMg2SiO4のそれを精密に比較した結果(Ishii et al., 2011)と調和的である。また上昇する高温のプルームには660㎞より深い不連続面を持つプルームがあり、これは転移境界線が負勾配のポスト・スピネル転移では説明できず、正勾配のポスト・ガーネット転移により不連続面が形成されていると解釈できる。