2026年1月16日

Date: 16:00-18:00, Friday, January 16, 2026

講演者:小林 大輝

タイトル:定量的に理解するダイヤモンドアンビルセルのしくみ

要旨:ダイヤモンドアンビルセルは、P = F /S に従い、非常に小さな試料に大きな力を加えることで高圧力を発生させる装置であるから、その原理は単純にも見える。ただ、実際にはいくつかの物理現象が並行して起こる結果として、試料に圧力が印加される。それについて定量的に振り返ってみたい。

講演者:小谷野 蒼大

タイトル: 氷Ihに対する水素取り込み

Title: Hydrogen uptake into IceIh

要旨: ハイドレート(Clathrate Hydrate)は、水分子が水素結合によってつくる籠状のホスト格子内に、ゲスト気体分子を包接した結晶相である。固体として気体を安定保持・運搬できる特性から、ゲストとして水素を取り込んだ水素ハイドレートは、水素エネルギー社会の実現に向け、水素を高密度かつ安全に貯蔵できる材料として注目を集めている。

水素ハイドレートには、圧力や温度条件に応じて結晶構造の異なる複数の相が存在する。既知の相としてsII, C0, C1,C2などが発見されており、それらの安定領域、相転移挙動、および最大水素貯蔵量の解明は、効率的な貯蔵技術確立のための重要なトピックとなっている。

Donnelly et.al(2018)では氷Ihの格子内に水素が取り込まれた「C-1相」なる新相が報告されたが、同報告以降C-1相に関する追試や詳細な研究は行われておらず、その相境界や最大水素貯蔵量など未解明な点が多く残されている。

本研究では、C-1相の物性解明に向けた端緒として、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧実験を行った。先行研究では水素ガスを圧力媒体として氷Ihを加圧することでC-1相の生成が報告されているが、本研究ではDACを用いて高圧環境を構築し、同様の実験条件下でのC-1相の再現およびその生成条件の特定を試みた。

先行研究と同様のP-Tパスに従い、高エネルギー加速器研究機構(KEK)のBL-11にてX線回折測定を実施したが、先行研究で報告されているような回折ピークのシフトは観測されなかった。以上の結果を踏まえ、現在は実験手法の再検討を行っている。具体的には、相状態を維持したままより精密な測定を行うため、新たなセルを設計した。今後は、このセルを用いて試料を低温回収し、実験を行うことで、C-1相の確実な再現と生成条件の特定を目指す。