2022年11月18日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, November, 18, 2022

発表者: 森田 千歩Speaker: Chiho Morita
タイトル: アモルファス炭酸カルシウムを経由したアスパラギン酸のカルサイトへの取り込みとその構造変化についてTitle: The Incorporation of Aspartic Acid into Calcite via Amorphous Calcium Carbonate and Its Structural Changes
バイオミネラルは、有機物と無機物の複合材料とも考えられ、有機物の高い靭性と無機物の高い硬度の双方の特長を持ちあわせることが知られている。そのバイオミネラルの代表的存在として炭酸カルシウムが挙げられる。
本研究の目的は大きく分けて2つあり、1つはKim et al.(2016)においてはカルサイトの単位胞子体積がアスパラギン酸ドープにより広がるとの結果が出ていたのに対し、鍵研究室丸形の修士論文によるとアミノ酸ドープにより逆に単位胞子体積が縮んだという結果が出たため、その矛盾を解決することである。もう1つは、高温・高圧といった生命が経験しえないような環境ではなく、より生物にとって身近な室温における湿潤条件下でのアモルファス炭酸カルシウム(ACC)の結晶化を観察することである。
今回はアスパラギン酸ナトリウムをドープしたACCを合成し、それを室温湿潤条件下で結晶化させることで、アスパラギン酸ドープカルサイトを生成し、不純物をドープしていないカルサイトとの構造を比較することでこの2つの目的にアプローチした。

Title: In-situ X-ray and neutron diffraction study on Fe0.95Si0.05 hydrides

発表者: 森 悠一郎

Spekaer: Yuichiro Mori

Abstract: 水素は地球核の軽元素候補として有力な候補として知られる[e.g., Stevenson, 1977 Nature]。これは, 水素が鉄に溶け込むことでその体積を優位に膨張させて密度を低下させることができる点にある[Fukai, 1984 Nature ]。水素1原子の固溶で鉄の単位胞体積がどれだけ膨張されたかは水素誘起体積膨張係数と呼ばれる。これは, 水素化された鉄と水素化されていない鉄の体積を溶け込んだ水素量で割ることによって求められるもので, これまで鉄水素化物の水素誘起体積膨張係数は多く議論されてきた[e.g., Machida+., 2014 Nat. Commun.]。一方で, 核に含まれる軽元素には複数の候補があり, 他の軽元素が鉄の水素化に与える効果を直接的に調べた例は極めて少ない。発表者はこれまで, 内核の軽元素の有力な候補の一つであるSiに注目し[e.g., Lin+., 2003 Science; Antonangeli+., 2018 EPSL; Hasegawa+., 2021GRL], 高温高圧環境下でhcp-Fe0.95Si0.05重水素化物の中性子回折をおこなってきた。また、水素誘起体積膨張係数を求めるために, X線回折を用いてhcp-Fe0.95Si0.05P-V-T測定もおこなっている。今回の発表では,これらの結果を複合した解釈に加えて, 高温高圧下での鉄水素化物実験において現在使用している高圧セルなどについても紹介したい。