2024年11月22日

Date: 16:00-18:00, Friday, November 22, 2024



講演者: 嶋 健皓
Speaker: Takehiro SHIMA

タイトル: α-クリストバライト(SiO2)の生成条件と結晶構造
Title: Production conditions and the crystal structure of α-cristobalite (SiO2)

クリストバライトはシリカ(SiO2)の多形の一つであり、天然ではオパールから産出することが知られている。クリストバライトにはいくつかの異なる構造(modification)があり、大気圧下で1470-1728°Cに安定領域を持ち、この条件でのmodificationは立方晶系β-クリストバライトである。また、β-クリストバライトを約268°Cに急冷することで、準安定な正方晶系のα-クリストバライトが生じる(Hill and Roy, 1959)。一方、シリカ多形の一つであるトリディマイトの安定領域は、大気圧下において867-1470°Cである。しかしながら、過去には1050°C以上で熱せられたオパール(Jones and Segnit, 1971)、1000℃のLi2WO4融液中で3日間加熱した石英(Nukui and Flörke, 1987)、コロイド状シリカと金属酸化物水溶液を混ぜたゲルの900-1200°Cアニーリング(Thomas et al., 1994)からα-クリストバライトが生成することが報告されている。これらの研究より、トリディマイト安定領域(867-1470°C)でα-クリストバライトが準安定に出現することが分かっているが、生成条件の詳細ははっきりと分かっていない。
そこで、α-クリストバライトを合成するための生成条件(フラックスの有無、合成の最高温度、最高温度の保持時間)を検討することを目的に実験を行った。非晶質シリカと酸化バナジウムもしくは非晶質シリカのみを用いたクリストバライトの加熱合成と走査型電子顕微鏡、粉末X線回折法(PXRD)による評価について、方法と結果を発表する。さらに、積層不整を含む試料のPXRDパターンのシミュレーションを、SiO2積層モデルを構築し、立方晶積層および六方晶積層の次に立方晶積層が起きる確率φ cc およびφ hc をパラメータとして、コンピュータープログラムDIFFaX(Treacy et al., 1991)を用いて行った。シミュレーションで得たパターンと実測パターンとを比較した結果についても報告する。