2017年12月15日

Date: 16.00-18.00, Friday, 15 December 2017
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker:Takato ONO

日 時:2017年12月15日(金)16:00~18:00
場 所: 化学本館3階講義室
講演者:大野 鷹士(Takato ONO)

タイトル: 火山噴煙測定による火山ガス中の水同位体組成および噴気出口温度の推定
Title: Estimations of isotopic compositions in volcanic water and fumarole outlet temperature based on volcanic plume measurements

要旨:
火山から放出されるガスに含まれる水の同位体組成や噴気温度は、深部でのマグマ性流体の上昇過程の理解に役立つだけでなく、それらの変化を捉えることで火山活動の活発化・静穏化といった活動評価にもつながると考えられている。しかしながら、活動が活発な火山や地形上、噴気孔に接近することのできない火山においては直接的なガス採取や温度測定が困難である。
噴気温度に関しては近年、火山噴煙中のH2の水素同位体比のみを測定することで、遠隔での温度測定を実現する手法が開発され、頻繁な噴火活動により火口に接近することのできない桜島火山でも温度推定を可能とした。この手法では、火山ガス中のH2と平衡にある水の水素同位体比として平均的な島弧マグマ水の値を仮定することで推定を行っているが、実際の島弧火山ガス中の水同位体組成はマグマ水と地域天水との混合線上の値を持つことが知られており、表層付近で天水の影響を受けた火山ガスに対しては上記の仮定が厳密には成立しない。
そこで本研究では、火山噴煙中のCO2の酸素同位体比およびH2の水素同位体比を測定することで、噴気温度のみならず、間接的に火山ガスに含まれる水の同位体組成の推定を試みた。
本発表では、北海道の樽前山と熊本県の阿蘇山での調査結果に基づいて、開発した推定法の概要や検討課題について紹介する。