2018年4月13日

2018年度地殻化学ガイダンス&研究紹介

Date: 16.00am-18.00am, Friday, 13 April 2018
Place: 3F, Lecture room, Main Chemistry Build.
Speaker: Shiori Morii

日 時:2018年4月13日(金)16:00~18:00
場 所:化学本館3階講義室
講演者:森井志織

タイトル(英題):Behavior of radioactive and nonradioactive trace metal elements in rice field in Fukushima
タイトル(邦題):福島県の水田中における放射性、非放射性微量金属元素の相互挙動

要旨:2011年3月、東日本大震災の影響を受けて福島第一原発事故が起こり、放射性物質による農作物の汚染が問題となった。2015年以降は放射性セシウム濃度が基準値を超えた福島県のコメは検出されてはいないが、コメの汚染は今でも問題となっている。
水田中の放射性セシウムの挙動や、イネへの移行のメカニズムはまだ明らかになっていない。そこで、本研究では水田中の放射性セシウム及びカリウムの相互挙動に焦点を当てている。本研究の最終目的はイネへの放射性セシウムの取り込みを防止する根本的な解決方法を見つけることである。
先行研究より、サンプルを採取した福島県某所の水田には「ホットスポット」と呼ばれる放射性セシウム濃度の高い地点が存在することが明らかになっている。通常、ホットスポットには放射性セシウムが蓄積しやすい地形的な特徴があるはずだが、この水田のホットスポットにはそのような地形的特徴はない。よって、土壌自体に放射性セシウムを取り込みやすい特徴があるのではないかと予想されている。
この研究では、サンプルを主に2つの面から測定した。ひとつはGe半導体分析装置(CANBERRAGX4018)による134Cs, 137Cs、40Kの分析、もう一つはICP/MS/MS (Agilent 8800)による非放射性金属元素(³⁹K, ⁴⁴Ca, ⁸⁵Rb, 133Cs)の測定である。実験的手法としては、放射性セシウムの土壌への吸着可能量を調べる放射性セシウム捕捉ポテンシャル(RIP)と、土壌中の放射性、非放射性金属元素の化学態を調べる逐次抽出法を用いた。
2017年5月~8月に、ホットスポットと他の地点(通常地点)から採取した土壌のサンプル、ため池1とため池2から採取した自然水のサンプルと、2017年8月、9月に採取したイネのサンプルを分析した。
本セミナーでは、サンプルの測定、実験結果とその考察について報告する。

<今後のセミナーの日程>

4月20日 森先生
4月27日 角森先生
5月11日 新入生の研究紹介×2 (山口さん(鍵研M1), 菊池さん(平田研M1))
5月18日 新入生の研究紹介×2 (山本さん(平田研D1), クーさん(平田研M1))