2021年12月10日

Date: 16:00 – 18:00, Friday, December 10, 2021 

Title: The quest for presolar grains: A historical perspective

発表者:甘利幸子

Speaker: Sachiko Amari

プレソーラー粒子と呼ばれる隕石中にごく少量(< 1000 ppm)含まれる星で生成された粒子が1987年にはじめて発見されてから四半世紀が経っている。

「発見」では最終的に発見したグループだけに焦点が当たりがちであるがそれに到るまでには色々な実験が行われている。発見に至るまでの実験も辿りながら、何が発見に重要な役割を果たしたかという私見も交えながら、プレソーラー粒子がどのような経過で発見されたかを述べる。

炭素質のプレソーラー粒子(ダイヤモンド、炭化ケイ素、グラファイト)を主に、酸化物とケイ酸塩のプレソーラー粒子についても簡単にふれる。

タイトル: アラゴナイト生成を促進させる不純物二価金属イオンの局所構造解析

Local structural analysis of impurity divalent metals which promote a
precipitation of aragonite
講演者: 伊地知雄太
Speaker: Yuta Ijichi

炭酸カルシウムの生成時における結晶多形の選択は、溶液中に共存する不純物の影響を受けることが知られている(e.g.Kitano1962a)。天然において海水中から沈殿する炭酸カルシウムは、海水のマグネシウム/カルシウムモル濃度比が高くなると準安定相であるアラゴナイトが生成し、マグネシウムイオンによってアラゴナイト生成が制御されていると考えられている。しかしながら、結晶中での不純物イオンの構造が解明されていないためアラゴナイト生成のメカニズムには統一的な理解が未だ存在しない。本研究ではX線吸収微細構造解析(XAFS)によってアラゴナイト中不純物金属の局所構造の解析を試みる。アラゴナイトに銅イオンを添加したこれまでの実験では、陽イオン席を占めるカルシウムイオンが九配位を持つ一方で銅イオンは六配位構造を有することが示された。カルシウムイオンに比べて小さなイオンはアラゴナイト中で六配位を達成するために周辺構造を歪めていると考えられる。その場合、添加金属のイオン半径を変えることによって添加金属周辺の歪みの規模変化がXAFSに表れると期待される。今回の発表では、亜鉛とマンガンを添加したカルサイトとアラゴナイトを合成しXAFS測定を行った結果について議論する。