2021年12月24日

Date: 16:00 – 17:00, Friday, December 24, 2021 

発表者:村岡賢佑

Speaker: Kensuke Muraoka

タイトル:非晶質炭酸カルシウム(ACC)の加熱および加圧結晶化における多形制御の試み

Title: Attempt to Control Polymorphism in Heating and Pressurized Crystallization of Amorphous Calcium Carbonate (ACC)

炭酸カルシウムは生体鉱物などとして地球上に普遍的に存在し、主にカルサイト、アラゴナイト、ファーテライトの3つの多形を持つ。常温常圧条件ではカルサイトが最も安定で、高温高圧条件ではアラゴナイトが安定で、ファーテライトは準安定相である。これらの結晶多形に加えて非晶質炭酸カルシウム (ACC: amorphous calcium carbonate, Chemical formula: CaCO3・nH2O, n<1.5)が存在する。ACCは生体鉱物の前駆体として働き、また容易に結晶化する。ACCは300℃以上あるいは0.24 GPa以上でカルサイトとファーテライトに結晶化することが報告されている(Seto et al., 2011; Yoshino et al., 2012)。ACCからカルサイトの生成は容易である一方で、ACCからアラゴナイトの生成は困難で、報告は限定的である。水溶液を介したアラゴナイト生成については、たとえばACC粒子をエタノールに分散させ、塩化マグネシウム水溶液を加えて振とうしてアラゴナイトが生成した報告がある(Zhang et al., 2012)

そこで本研究では、ACCからの固相反応で得られる炭酸カルシウム結晶の多形制御を目標とする。ACCを加熱および加圧結晶化させる際に、アラゴナイトの粉末を種結晶として加え、生成する炭酸カルシウムの多形を調べた。ACCは、氷冷した塩化カルシウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を混合した過飽和溶液から合成した。アラゴナイトは、塩化マグネシウムを添加した炭酸カルシウム過飽和溶液から50℃で合成した。得られた結晶相は粉末X線回折を用いて決定した。実験結果の詳細は当日報告する。